苦みを活かした純米スパークリング
日頃は私がピックアップして来た酒の中から最終決断を下すことの多いあかね屋店長が,珍しく自分で酒屋さんからの入荷案内を見ながら、「暑くなってきたから発泡酒を置きたいんだよねぇ,これいくつか取っといてもらえます?」と、言って来ました。
見ると,山形の米鶴酒造(首都圏では「うきたむ」の方が通りが良いかもしれません)から出ている【純米スパークリング】です。
さっそく、お使いにいき自宅用の分を試しに一本買って開けてみましたが,普通の活性にごりのように封を切った途端泡が立ち上るのではなく、グラスに注いだ時にサァーッと細かな泡が湧いてきます。口に含むと更にファーッと細かな泡が沸き返り,ブリオッシュのようなふっくらとした穀物系の含み香が鼻に抜け,飲み込むとすっきり跡形もありません。泡の感触,甘みを突出させないつくりなどはこれとちょっと似ている美丈夫の【発泡吟醸しゅわっ!!】は柑橘を思わせるような爽やかな立ち香を活かして生レモンサワー的な飲み方が似合いましたが、米鶴の【純米スパークリング】はむしろビールに近いキャラを感じます。
ドラフトビールのようなずっしりした苦みではなく,甘みの表面を繊細な苦みが包み込んだようなふっくらとしたキレ上がり方がなんとなくビールチックなのです。おそらく,公表されていませんが使用酵母は山形酒でちらほら見かける噂のチロソール高生産性酵母http://www.j-tokkyo.com/2004/C12N/JP2004-215644.shtmlなのではないかしらん?と思います。
吟醸系の酒はその香味から白ワインに例えられることも多々ありますが,原料から言えばワインよりもビールの方が日本酒に近いわけで,食中酒としてのリフレッシュ効果をフルーティな酸味ではなく苦みに求めるのはある意味もっともなことだな,と思います。店の料理で言うと,自家製タルタルソースを添えたアスパラフライや川エビの唐揚げなどが合いそうです。
ただ,酒屋さんは「瓶内二次発酵の発泡酒です」とおっしゃっていましたが、キャップはプルトップだし,新酒の時期に飲めるおりがらみの活性酒より泡が細かいし、今までの乳酸飲料のような甘酸っぱいタイプの発泡酒ともまったく個性が違うので、「どうやって二次発酵させたんだろうだろう?」と狐につままれたような気分です。炭酸ガス混入タイプじゃないのかなぁ,それともシャンパンみたいに瓶を逆さにしておりを集めてから凍らして抜き取ったんでしょうか?
念のため,数値を書いておきますが,原料米は65%精米の出羽の里(溶け易くかつ雑味が少ない)を全量使用。アルコール度/9° 日本酒度/−9〜−12 酸度/1.4〜1.5だそうです。
