いずみ橋さんの取り組み
先週、神奈川のいずみ橋酒造さんからお中元商品のご案内と、今年度の米づくりについてのお知らせがとどきました。いずみ橋さんは米づくりから含めた一貫生産をする首都圏に最も近い酒蔵さんの一つだと思います.
ご案内によりますと、今年から地元相模酒米研究会と協力して、冬季湛水不耕起栽培(いわゆるふゆ水田んぼ)の研究に乗り出されたそうです.この栽培法は、農家にとっては省力化、除草剤&農薬などにかかるコストの削減、また生態系の多様性を復活させるとして環境面からも注目が集まりつつある栽培法です。
が、ふゆの間も田んぼに水を張るため近隣の農家の方々と水利権の面で調整が必要ですし、多くの場合、専用の田植機が必要だったり、また実際の圃場の保水力とこの栽培法の相性など、その土地その土地にあった実施法が安定するまでクリアしなくてはいけない課題がたくさんあります.また、移行して数年間は収量、品質ともに慣行栽培の時より不安定になり易いので移行するには充分な段取りと、企業としての余力がもとめられます.
そのため、(昨年滋賀の竜王町の酒米部会でもお聞きしたことですが)中山間地域の小規模な事業所でこの農法を採用するところは比較的多いのですが、相模平野のようないわゆる穀倉地帯で団体でこの栽培法を定着させるのは珍しいことだと思います.
一筆ごとの理解、一年ごとの体験の世界で、すぐに結果がでるものではありませんが、こう原油価格が高騰してしまうとこの栽培法も環境面だけでなく経済的にも見合うようになるのかもしれません。産地を抱える地方の行政が農機具購入のための助成金の予算をもうけるだけでなく、販路をコーディネイトするなど高い位置からの広い視野でシステムとしてこの栽培法を支えてあげることができれば、より普及は早まると思います.
もちろん私達一般消費者にできる一番の応援は、『買って飲む』の一言につきます.
いずみ橋さんの酒は一般に糖分の少ない引き締まったタイプの製品が多いような気がいたします。
夏に冷やで飲むのもいいでしょうし、人によっては自宅で数年寝かせてから飲む方もおられるようです。
以下に、この栽培法のメリットは不耕起栽培普及会のHPを御覧いただくとして、これが抱える課題を知るための資料を添付しておきます.
多面的機能発揮事例としての冬期湛水の実態http://nkk.naro.affrc.go.jp/library/newpanel/pdf/sougou/panel%207.pdf
滋賀県における取り組みが実際の市場でどう評価されているか?の調査結果.
http://www.ses.usp.ac.jp/fw/down/fw2_2005/2h.pdf
以下引用
消費者が米を買う基準はグラフで示すように「いつも食べている米70%、安い米2
0%、高くても安全な米10% 」であり、例え少々値段が張っていてもいつも食べている米を購入する傾
向が消費者に強いため、この割合の中に環境こだわり米を割り込ませるのは中々難しいということだっ
た(グラフ8.3.2-1 参照)。さらに、販売者があまり「環境」というキーワードに興味がないこともこだわり米
が売れない理由の一つになっている様である。
「店で販売できる量が一年間で安定しないために、販売業者もこだわ
り米を買ってくれない」というものだった。このために、販売者側が絶対量が少ないために店頭に並べら
れるのが不定期または不可能となり、こだわり米を購入する消費者でも毎回こだわり米を手に購入する
ことができず、こだわり米が世間に浸透しない、リピーターが生まれないと考えられる。
(3)環境こだわり米を売るための取り組みとして
こだわり米を売るための取り組みとしては、パールライス滋賀は今生協の勉強会への参加、店内キャ
ンペーンの実施、ラジオやチラシでのPR、イベントの開催などを行っている。消費者は「農薬」という言
葉に過剰反応する傾向があり、今後はこだわり米は普通の米に比べて特別おいしいわけではなく環境
にやさしいということを正しく理解してもらう必要がある。また、業務用、外食産業へは益々増加する可
能性があるのでもっと売り込んでいく必要がある。さらに産地ごとに農薬が違うために表示が大変で今
はシールで対応しているがコストがかかるために栽培方法の統一化が必要である。
(4)まとめ
最後に「こだわり米は儲かるのか?」という質問に対して「直接的に儲けは発生していないが、いろいろ
な米を扱っているということが宣伝できていることから言えば間接的に儲かっている。こだわり米は儲けが
発生するまでの生産量に達していない。」ということだった。
以上のヒアリング調査から僕たち流通関係グループは、こだわり米はまだ消費者に浸透しておらず「い
つも食べている米を買う傾向が強いために新しくコーナーに置かれた『こだわり米』に手が伸びない」と
いう現状がわかった。また、販売者側から見ると「絶対量が少なく、量も安定しない米は店頭に並べるこ
とが出来ない。」という言い分があることがわかった。以上の結果から、環境こだわり米が消費者および
販売者に浸透するのにはまだまだ課題が多く残っている、
(引用終わり)
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